孫 子

十一、九 地

始めは処女のごとく、後には脱兎のごとし

 強力な軍隊が大国を攻撃すれば、いかに大国といえども充分な兵士を集める余裕がない。強力な軍が圧力をかければ、他国と同盟を結ぶことも出来ない。そうすれば外交や軍事で争うことなく、思いどおりに敵に威圧を加えられ、敵城や敵国を奪うことができるのである。それには特別の恩賞を部下に与えたり、特別な政令を出し、人心を掌握することも必要である。そうすれば、全軍の兵士があたかも一人の兵士のように思いのままに動くのである。ただし、命令は言葉ではなく具体的なものでなくてはならず、有利な点を強調し、決して不利な点を告げてはならない。絶体絶命の窮地にあってこそ活路が開ける。兵士達は危険な状況にあって始めて真剣に戦うのである。
 つまり、戦争をするということは力ずくではなく、敵の考えに応じて対応するものである。敵を一方に集中させて虚を衝けば、遠くの敵将でも倒すことができる。これが戦名人という者である。さて、いよいよ開戦という時は、国境の関所を閉鎖し通行証を廃止し、一切の通行を禁止する。そして、軍議をこらして方針を確定し、敵の動向を見極める。敵の急所を狙って密かに行動し、計画どおりに戦いを決する。最初は処女のように物腰柔らかく接し、敵を安心させる。そして脱兎のように勢いよく攻撃をかけるれば、敵は防ぎようがない。










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