火攻めの法
火攻めには五つの種類がある。第一に人、第二に物資、第三に補給、第四に倉庫、第五に隊である。どれにしても火攻めには条件を満たすことが必要となる。道具類はあらかじめ整えておかなければならない。決行するには時と日のタイミングがある。決行の時とは乾燥しているころ、日とは月が箕・壁・翼・軫（星座の名）にかかるときである。月がこれらの星座にかかるとき風が吹く。火攻めは五つのどれを焼くかによって対応する。敵陣内に火の手があがれば素早く外から行動を起こす。火を放って敵陣が静かであれば、攻撃はひかえなければならない。火の勢いによって攻撃すべきか退却すべきかを見極める。火を外部から放たなければならないときは、敵陣に潜行した部隊からの連絡を待つことなく星座の「時」をもって行動を起こすのだ。火が風上であれば決して風下から攻めてはならない。昼に風が強ければ、夜には風は止むことも心得ておかねばならない。戦いには必ずこの五種の方法を理解して、条件に応じた対応をしなければならない。従って、火攻めや水攻めは非常に有効であるが、水攻めの場合は、補給を断つだけで物資に損害を与えることは出来ない。
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