孫 子

五、兵 勢

よく人を(えら)んで勢いに任ずる。

 戦上手は、勝敗を勢いにもとめて、兵士の能力に求めることはしない。つまり、軍全体の勢いを増すことに重きをおいて兵士を配し、戦いを行うのである。勢いを得れば、丸太や石が転がるような大きな力を発揮する。
 木石は平らな場所では安定してそこに留まり動こうとしないが、斜面にあれば転げていく。また、四角い形のものは動きにくいが、丸い形なら転がりやすいではないか。兵も丸い岩を深い谷に転がすように戦わせる、これが勢いというものであり、戦上手の戦法なのだ。  
 
 
 
 












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