孫 子

九、行 軍

杖つきて立つは、飢うるなり。必ず謹みでこれを察せよ

 敵に杖をついている者が多いのは、食料が不足して飢えているからである。水を汲んで運ぶ前にすぐに飲んでいるのは、水が不足しているからである。有利な状況でも攻めてこないのは、軍が疲れているからである。敵陣に鳥が集るのは、既に移動しているからである。夜に掛け声をかけるのは、恐怖を隠そうとしているからである。軍に秩序がないのは、将の威令が失われているからである。軍旗がやたらに動いているのは、内部が乱れているからである。幹部がやたらに部下を怒っているのは、戦意を失っているからである。馬を殺して食べているのは、兵糧がなくなったからである。炊事道具を棄てて陣地に帰らないのは、追い詰められ必死になっているからである。将がクドクド部下に言ったり馴れ馴れしくするのは、将への信頼がなくなったからである。度々褒賞を与えるのは、指導者が窮しているからである。逆に、度々罰を与えるのも、指導者が窮しているからである。部下を乱暴に扱い、その後すぐに機嫌をとるのは、迷っているからである。使者をよこして挨拶に来るのは、休息をして軍の立て直しを図りたいからである。敵が勇ましく迫ってきながら、戦おうとせず、退却しようともしないのは、策略があってのことだからよく察することだ。
 








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